第4回 事務局チームのPyCon JP 2016

はじめに

こんにちは。メディアチームの木村です。前回はメディアチームの作業内容についてご紹介しました。最終回となる第4回は、事務局チームの作業内容のご紹介と総括、次回への展望についてです。

事務局チームのPyCon JP 2016の過ごし方

事務局の役割は多岐にわたりますが、今回はデザイン、グッズ、冊子、ジョブフェア、遠方支援、会計、参加者管理・受付、名札管理についてご紹介します。

デザインについて

各種デザインを担当した塚本 英成です。 デザイナーは筆者とlapisさんの二人で今回のロゴや当日配布されるパンフレットや各種ノベルティ、 さらには登壇者の後ろにあるバックボードに至るまで隅々をデザインしました。 かなり多くの部分を筆者らはデザインできたのですが、失敗や苦労・逆に楽しかった思い出もありました。

今年初スタッフのデザイナー二人が直面した課題

スタッフとして加入した当初、筆者は福井県に住んでおりリモートでの作業が中心となっていました。 PyCon JPに限った話ではないですがリモートだと会ったことのないメンバーとコミュニケーションをとるときの温度感が分からず、かなり不安だったことを覚えています。 またlapisさんもカンファレンスのスタッフには余り慣れておらずお互い苦労することがありました。

そんななかPyCon JPではリモートスタッフでも活躍できるような配慮がなされていました。 Hangoutを利用した会話でオフラインでの会話と同等のコミュニケーションを行えたのが大きかったかと思います。 また、lapisさんも慣れないながらも、スタッフ作業日などでスタッフの肌感覚を得られたことが大きく、 なんとか今年のPyCon JPのデザインを行えました。

他のスタッフのサポートに助けられました

筆者もlapisさんもとある期間にプライベートが忙しくなり、 デザイン作業が思ったように進まず滞ることがありました。 そんななか周囲のスタッフの方々に大きく支えられました。

例えば、PyCon JPで例年配布している冊子の作成には多くの時間がかかります。 デザイナー二人が忙しく時間を割けない状況が続きましたが、 「忙しいなら」と予算を追加で確保して冊子作成作業を外注することになりました。 そもそも冊子作成作業への着手がかなり遅れてしまっていた中、 とくに次回のPyCon JPの座長である吉田さんにはお助けいただけました。

デザインのコンセプト

PyCon JP 2016のロゴは筆者が作成しました。 今回のテーマに沿った多様性とそこから生まれる無限の可能性を表現したロゴとなっています。 多様性の表現は色で、無限の可能性は形で表現しました。 またこれほどの大きなイベントでもありたくさんの場所でロゴが使われる事を考え、 利用しやすいシンボルマークづくりを心がけました。

今年のPyCon JPのロゴ

今年のPyCon JPのロゴ

PyCon APAC 2016 in Koreaからアイディアをいただきました

今年8月に韓国で開催されたPyCon APAC 2016 in Koreaが開催され、 筆者は一般社団法人PyCon JPの理事である寺田さんらとともに参加しました。 PyCon APACのデザインはとても素晴らしく驚かされました。

その中でも注目したのがタイムテーブルの印刷された大きなパネル。 PyCon APACの会場では参加者がその周辺に集まりタイムテーブルを頻繁に見ていました。 それを見て寺田さんらとともに「これを作ろう!」と現地で話し、 帰国後に製作が始まりました。

PyCon JPでも用意した結果PyCon APACの際と同様で周囲に人があつまることが多くありました。 取り組んで良かったと思いました。

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PyCon APAC 2016のタイムテーブルパネル

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PyCon JP 2016のタイムテーブルパネル

グッズ

グッズ発注を担当した斧田です。PyCon JP初参加・初スタッフで、右も左もわからない状態でのスタートでしたが、周りの人に支えてもらいながらの作業でした!当初は後述する冊子も一人で担当していたため、途中でまわらなくなり引き継いだため、最初にある程度の作業量と作業時間を把握しておけばよかったと反省してます。それでも、手を上げたら任せてもらえるのはPyCon JPのいいところですね。

PyCon JP 2016では、参加者の皆さんにバッグ、Tシャツ、ステッカーをお配りしています。それらのデザイン決定、発注数の把握と発注が主な作業でした。他にも、スピーカーやスタッフ用のTシャツ、ネックストラップや、トーク中にスピーカーの後ろにあるバックパネル(よく記者会見の後ろにあるようなボードです)、エントランスに設置するバナーの作成も担当していました。

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会場のバックパネル

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PyCon JP 2016参加者用Tシャツ

スケジュール作成と発注数の確定

とにかく大変だったのが、発注までの全体の流れを把握した上でのスケジュールの作成と、発注数の確定でした。いつになれば参加者やスピーカーの数が確定するのか、全てのグッズに対して、いつまでに発注すれば当日に間に合うのか、どこに何時に届けるのかをスタッフや業者さん、関係各所に確認しスケジュールを決めました。

発注数に関しては、事前のアンケートを参考にしながら発注したのですが、一般の参加者用のTシャツのサイズが予想と異なり、最後はビックサイズしか余らなかったのが反省点です。

ロゴを活かしたグッズ作成

グッズで気に入っているポイントは今年のロゴの活かせたところかなと思います。(デザインしてくれたlapisさんと塚本さんに感謝!)∞のフォルムとカラフルな配色が特徴だったため、Tシャツはロゴの左端にあるターコイズブルーをスタッフTシャツ、右端にあるホットピンクをスピーカーTシャツに使用しています。また、ステッカーもこれまでの丸型ではなく、∞のフォルムに沿う形にしました。1番大きな部屋に置いた特大バックパネルもかなり色合いが鮮やかで、とてもきれいでした。

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スタッフTシャツを着用してのミーティング

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ポスターセッションはスピーカーと参加者が直接会話できる場にもなりました

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∞のフォルムに沿う形にした PyCon JP 2016 ステッカー

PyCon JP 2016当日、自分が発注したグッズ達が参加者の皆さんの手に渡り、使用いただけるのはとても感慨深いものがありました。昨年の担当も言っていましたが、グッズは毎年異なる担当者が発注をしていて、毎年苦労しているので、マニュアル作ります!

冊子

冊子編集を(途中まで)担当した斧田です!今年は次回のPyCon JPの座長である吉田さんに助けてもらい、途中から冊子担当を吉田さんにバトンタッチしました。冊子担当は、各プログラムの概要、スポンサー案内、会場案内、タイムテーブルなどを記載してる冊子の原稿集めと校閲のとりまとめと発注を行いました。表紙デザインはlapisさんと塚本さんに案を作成してもらい、中身のレイアウトは今年外注しました。

冊子もグッズ同様、全体の流れの把握が苦労したポイントでした。PyCon JP初参加ということもあり、当日何が行われるのかということの把握から始まりました。作業日にこれまで話したことのないスタッフに緊張しながら話しかけたのもいい思い出です。

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苦労して作った冊子です

スタンプラリー

昨年のレイアウトを参考に、今年は昨年とほぼ同じ配置にしています。昨年から変わったところはスタンプラリーページの作成です。スポンサーブースでスタンプを4つ集めて、豪華景品があたるくじ引きにチャレンジできるというものです。今年は景品として、Pythonの技術書をプレゼントしました!

ジョブフェア

スポンサー担当の足立です。昨年に引き続き、カンファレンス2日目のランチタイムにジョブフェアを開催しました。

ジョブフェアは、企業と個人がよりカジュアルに交流することを狙いとした企画です。

通常、Webサイトや求人情報として目にする情報だけでは、その会社の文化、普段の開発スタイルまで理解することは難しいのではないかと思います。 一方で、カンファレンスなどのコミュニティを通じた転職は、どんどん増えているように思います。

本企画を通して、各社の「仕事」や「考え方」を知ることで、企業と個人との関係をより深めて頂くことができることを願いつつ、運営しています。

今年のテーマは、 『エンジニアが語る サービス・プロダクトとの関わり方』

単に開発だけでなく、会社の中での開発の立ち位置、ビジネスサイドとの関わり方は、文化の現れやすいテーマだと考え、設定しました。

このテーマを元に、こちらの皆さんにパネルディスカッションに登壇頂きました。

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モデレーター

・ポート株式会社 大月英照さん 執行役員・キャリアパーク事業本部 転職エージェント事業部部長 兼 技術企画室 室長

パネラー

  • 株式会社フンザ 取締役CTO 酒徳千尋さん
  • 株式会社いい生活 常務取締役 CTO 松崎明さん
  • 株式会社HDE 代表取締役社長 小椋一宏さん
  • 株式会社白ヤギコーポレーション サーバーサイドエンジニア 森本哲也さん
  • 株式会社ブレインパッド テクノロジー&ソフトウェア開発本部基盤開発部 部長 下田倫大さん

また、海外から参加するスポンサー企業もあるため、日本語でのパネルディスカッションだけでなく、英語で発表が可能なLT枠も用意しています。

今年のLT参加企業

  • 株式会社モノタロウ
  • 株式会社JX通信社
  • Locarise
  • Gandi
  • 株式会社リーディング・エッジ

今年は、昨年度以上に、早期にスポンサー企業のみなさんにお申し込み頂き、LT枠の抽選倍率は5倍以上の高倍率。ご応募ありがとうございました。

今年はカンファレンス2日目のランチタイムに、飲食しながら観覧できるコンテンツとして行ったため、会場を埋め尽くすほどのたくさんの参加者のみなさんに来てもらいました。

今年初めてジョブフェアを担当した身としては、テーマ設定が難しいコンテンツだと感じています。 来年度も継続開催していきたいと思いますので、参加者のみなさんから、聞いてみたいテーマなどのご意見をもらえると嬉しいです。

来年は更にパワーアップした企画にできるよう事務局一同頑張ります!

遠方支援について

事務局チームで会計と雑用(なんでも)担当をしている田中です。今回は、会計と遠方支援について紹介します。

PyCon JPでは、カンファレンス会場から遠いところに住まわれているけれども、PyCon JPに参加したいという国外・国内からの参加者に対して、遠方支援を提供しています。希望者全員に支援したいのはやまやまですが、財源も限られており、希望者の中から審査を行い、支援対象者を決めております。

遠方支援の決め方は、 PyCon JP公式ウェブサイトに掲載されているとおり 、トークに応募(CfP)していたり、会場から距離が遠い、PyCon JPやさまざまなコミュニティへの貢献などから決めました。

なお、今年の採用者はCfP、カンファレンス会場からの距離を採用決定の判断にしました。 CfPは受かるかどうかわかりませんが、遠方支援を申し込む方はCfPを申し込んでいると印象はぐっとあがります。また、コメントとしてコミュニティに貢献している旨記載のある方がいましたが、どんな貢献なのか具体例やURLがあると支援対象者を決める際により印象は高くなります。 来年も同様の遠方支援のルールで行うとは限らないので断言できませんが、参考になれば幸いです。

会計について

会計はPyCon JP 2016の予算調整や決算、イベントに関わる食事・物品の支払いなど会社の会計職と行っていることは同じです。

ちなみに、PyCon JP 2016で最も高額な支払いはなんだかご存知でしょうか。いずれ決算の際に公式ウェブサイトやブログにてご案内しますが、ダントツの1位は食事です。参加者のお昼ご飯や1日目のパーティなどを合わせるとPyCon JP 2016予算の半分に該当します。PyCon JP 2016のエンゲル係数はかなり高いことが伺えますね。

そして会計は、PyCon JP スタッフの中でも最も長い期間にわたって作業のある役割です。なぜなら、PyCon JP 2016は9月に行われほとんどの係は10月くらいに終わりましたが、会計はまだ終わっていません...。むしろイベントが終わってからが本番になるくらいです。イベント後の各種支払いや精算があり、そして一般社団法人PyCon JPには会計報告義務があるからです。年内には決算を終え、収支の報告をブログでみなさまに行えるよう頑張りたいと思います。

参加者管理・受付について

メディアチーム副座長の吉田です。本来は参加者管理・受付は事務局チーム担当だったのですが、事務局チームスタッフが本業や学業が多忙でなかなか手が回っていなかったため、今年も手伝いました。 今年の参加者管理・受付の変更点について紹介します。

名札管理の簡素化、参加者受付の簡素化

数年掛けて徐々に参加者受付方式を改善してきたことを紹介します。他のイベントでも参考になるかと思います。 2013までは名簿ベースで受付していました、これは受付時に名簿との突き合わせに時間がかかり、受付時間および参加者待ち時間が長くなり、カンファレンス当日、長い待ち行列が受付前にできてしまう現象となっていました。 2014,2015は事前の個別の名札準備する方式にしました。これにより受付時間および参加者の待ち時間、待ち行列の短縮ができました。 しかし、開催前に数日~1週間近くスタッフの手間がかかっていました。名前や所属等はもちろん、ベジタリアン、ハラル等食事についてなど、参加者個別の項目について記載し、それを(家庭用の遅い)インクジェットプリンターで印刷してていたので、時間もスタッフの手間も多く大変でした。 また、受付でTシャツやグッズを渡す際に都度Tシャツのサイズを聞いてピックアップする必要があり、これにも時間がかかっていました。 2016は事前の個別の名前入りの名札の準備を止め、テンプレートのみ台紙を必要枚数印刷業者に発注し、その台紙に参加者各自に名前を書いてもらう方式に変えました。 また、グッズについては受付の後ろにグッズ受け渡しスペースをつくり、そこでTシャツ含めて参加者にピックアップして貰う方式としました。 また、ハラル、ベジタリアンなどの食事対応については対象者をリストアップして会場チームに連携し、事前の申込者のみに配布する体制を取って対応しました。 参加者数については、渡した台紙の枚数を残り枚数の逆算(作成した枚数-残り枚数)から算出する形としました。 これはチェックに名簿等を使用するとそこがボトルネックとなるためです。 有料イベントなので、参加者がチケットを購入しているかについて確認する必要があります。これはconnpassの受付票の機能で紙の提示、またはスマートフォン等で確認して番号を控える方式としました。事前にconnpassメッセージで数回告知&当日も受付前で告知することでスムーズに参加者に準備してもらえました。 参加者の性善説に依存したモデル(チケット偽造の可能性は否定できません)ではありますが、最悪は後で受付票に記載の番号で突き合わせが可能なシステムとしました。 上記により、完全に各受付が並行に動ける形としました。 これにより、参加者の受付時間、待ち時間の短縮、受付のスタッフ人数の低減と、事前準備の短縮をともに行うことが出来ました。

全体のまとめ

PyCon JP 2016 メディア副座長 / 2017 座長(Chair)の吉田です。

第1回のレポートでも書きましたが、PyCon JP 2016来場者は初の700名超えとなり、盛会のうちに終えることができました。 海外からの発表者・参加者も多く、日本で開催される国際的なカンファレンスとして定着してきたと感じています。

全4回のレポートを通じて各チームどのように実施して、PyCon JP 2016当日を迎えたのかということを知ってもらえたらと思います。 当日、大きな混乱もなくイベントが運営できたのは、スタッフ全員とスピーカー、スポンサーを含む参加者のみなさんの協力によるものです。 みなさんありがとうございました。

来年に向けて

PyCon JPは2017年も開催予定です。 スタッフ募集はすでに開始しています。PyCon JP 2017のスタッフに興味がある方は下記リンクから申し込みをお願いします。また、スタッフの作業はどんなことがあるのかということは、この連載や下記の「スタッフの手引き」を参照してください。 なお、作業の様子をちょっとだけ覗いてみたい、という方は、「にぎやかし枠」で作業日に参加してください。PyCon JP スタッフの作業日は connpass の「PyCon JP スタッフ」 というグループでご案内しています。

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